
球速が速いフォークボールの使い手は要注意!
変化球の中で、もっとも肘を痛めやすいのはフォークボールやスプリッターだと言えます。フォークボールの投げ方は特殊で、人差し指と中指を大きく開き、そこにボールを挟み込むことによってボールの回転数を減らし、ホームプレートの手前でボールを落下させていきます。
ストレートのアヴェレージ(平均速度)が速いフォークボールの使い手ほど肘を痛めやすくなります。プロ野球や、メジャーに渡った速球派のフォークボールの使い手のほとんども肘の手術を経験しています。
2本の指を開いてボールを挟むため、腕を柔らかく使うことや肩関節の内外旋が物理的にやりにくくなってしまうんです。その結果、アクセラレーションフェイズ(トップポジションとボールリリースの間の加速動作)で手のひらがずっと正面、もしくは真上を向くようになり、肘の内側に大きな外反ストレスがかかり、内側側副靱帯(肘の内側)を痛めてしまうんです。
ストレートのアヴェレージが130km/h未満であれば、それほど怪我のリスクは高まらないのですが、140km/h以上の投手の場合は外反ストレスが大きくなるため注意が必要です。
フォークボールを投げずにフォークボールを活かす
僕自身の持ち球はドロップとフォークボールだったのですが、中学卒業直後の春休みに僕は肩を痛めてしまいました。しかし僕の当時のストレートのアヴェレージはまだそれほど速くはなく、僕の場合はフォークボールではなく、OTS(Over Training Syndrome:練習過多)が野球肩の原因でした。
当時の僕の球速は1年に10km/hくらいのペースで速くなっていたため、OTSで怪我をしていなかったとしても、球速がもっと上がった時、フォークボールが原因で肘を痛めてしまっていたかもしれません。
フォークボールは、ハマると本当にまったく打たれない球種です。僕も怪我をするまではフォークボールでガンガン三振を奪っていました。しかしその反面肘の内側への外反ストレスが大きくなり、野球肘になりやすい諸刃の魔球でもあるんです。
ですので球速が速いフォークボールの使い手は、フォークボールに頼り過ぎないことも大切になってきます。例えば「フォークボールを持っている」と打者に思ってもらえるだけで、フォークボールを投げなくても打者は勝手にフォークボールを警戒してくれるようになります。
フォークボールを投げずにフォークボールを活かすこともできますので、球速が速いフォークボールの使い手は肘の内側の故障を防ぐためにも、そのようなフォークボールの使い方も覚えて、フォークボールの割合を上手に減らせるようになると良いかもしれませんね。
そして肩肘を痛めにくい、科学的に本当に正しい投げ方を身につけたいという方は、僕が監修している「よくわかる!投球障害慕容改善法-徹底解説ビデオ」をご覧になってみてください。野球経験のないお父さんお母さんにもよくわかる内容になっています。